バンドデビュー

それまで通っていた中学校は普通の公立学校だったが各学年に怖い先生がいて緊張感があった。恐怖で締めつけるわけではないが「先生」と「生徒」という上下関係がはっきりとあった。それはそれで窮屈でもなく、規律のある学生生活だった。

高校は片田舎にある総合学科とかいう選択制授業を取り入れている学校だった。勉強が得意でなかった僕が選べるところがそこしかなかったのだ。そしてそこに入ったのが運の尽きだった。校風は『自由』を尊重していて『制服の半自由化』なるものがあった。僕が入学する数年前に生徒の意見として取り入れられたものだった。一応学校指定の制服があるものの、上着に関しては好きなものを着てもOKというものだった。その時分は古着ファッションが流行っていて制服ズボンの上に色褪せたスウェットや原色のナイロンブルゾンを着る生徒がうじゃうじゃいた。生徒が主体を売りにしているのか、生徒の方が立場が強く授業中に廊下を歩き回っていたり先生の話に文句をつけたりと滅茶苦茶だった。先生が生徒に対し「おーおー…おい聞いてくれい」「話を聞いてほしい」なんて情けない言葉を言っては周りの雑音にかき消されている場面を何度も見た。反吐が出そうだった。というか出ていただろう。